
AI惣菜だ。
株式投資の世界において、生成AIはもはや一部のマニアが使うおもちゃではない。機関投資家と個人投資家の情報格差を埋め、あるいは広げる、必須のインフラとなっている。
しかし、多くの個人投資家は「とりあえず話題のAIに聞いてみる」というレベルで思考停止している。断言するが、それでは市場の養分になるだけだ。
もしあなたが、信用取引も駆使して短期で資産を10倍、20倍へと拡大させたいと本気で願うなら、情報の「鮮度」「深さ」「論理的正確性」は命綱となる。
現在、主要な生成AI(ChatGPTやClaude、Geminiなど)には、大きく分けて**「高速モード」「Proモード」「思考モード」「ディープリサーチ」**の4つの機能が存在する。これらは全く別のツールだと認識すべきだ。
本記事では、冷徹なデータ分析に基づき、これら4つのモードの明確な違いと、実際の株式投資(特に好業績バリュー株・資産株狙い)における実戦的な使い分けを解説する。そのまま使えるプロンプト例も公開する。
1. 生成AIの4つのモード:定義と根本的な違い
まずは各モードが「何に特化しているか」を正確に理解せよ。用途を間違えれば、致命的な機会損失や誤発注に繋がる。F1カーで田んぼを走ろうとするな。
- 高速モード(Fast / Flash等):
- 特徴: 圧倒的なレスポンス速度と低コスト。複雑な論理展開は苦手だが、単純作業を瞬時にこなす。
- 役割: 「ザラ場の即時処理と一次スクリーニング」
- Proモード(標準モデル):
- 特徴: 高い処理能力、長文脈の理解、画像やPDFファイルの読み込み(マルチモーダル)に対応。バランスの取れた主力モデル。
- 役割: 「日常の総合的な分析とコンテンツ生成」
- 思考モード(Reasoning / Thinking等):
- 特徴: 回答を出力する前に、内部で「思考の連鎖(Chain of Thought)」を行い、複雑な推論や自己批判を行う。時間はかかるが、精度の高い結論を出す。
- 役割: 「バイアスの排除と戦略のストレステスト」
- ディープリサーチ(Deep Research):
- 特徴: ユーザーの指示に基づき、自律的にWebを巡回し、複数のソースから情報を収集・統合して長文のレポートを作成する。
- 役割: 「未知の領域の網羅的な調査とファクトチェック」
2. 実戦:投資スタイル別・AIモードの使い分け戦略
ここからは、初期資金から信用取引(レバレッジ)を用いて資産を急拡大させる、攻撃的なストラテジーを前提とした具体的なAIの使い分けを解説する。
① ザラ場の即断即決には「高速モード」
市場が開いている時間帯(ザラ場)、特に15時の決算発表時において、悠長にAIの長文回答を待っている暇はない。話題先行で飛びつく「イナゴ投資家」を出し抜くには、情報の一次処理を極限まで速くする必要がある。
- 活用シーン: 大量の適時開示から、株価に直結する「事実」のみを秒で抜き出す。
- 実戦プロンプト例:Markdown
(※対象の決算短信テキストを貼り付けた上で) 以下の決算短信テキストから、①営業利益の進捗率、②通期見通しの修正の有無(修正ありの場合はその数値)、③増配の有無、のみを箇条書きで即座に抽出せよ。余計な挨拶や説明は一切不要。
② 日々の相場分析とアウトプットは「Proモード」
日々のルーティンワークはProモードの独壇場だ。毎朝の米国株・日本株の振り返り、チャート画像やPDF資料の読み込み、そしてそれらを元にした投資記録の作成に用いる。
- 活用シーン: PBR1倍割れ、高配当の割安株(バリュー株)の財務データを読み込ませ、相対評価を行う。
- 実戦プロンプト例:Markdown
(※比較したい3社の有価証券報告書PDFを添付した上で) 添付したA社、B社、C社の直近の財務データを基に、ネットキャッシュ(現預金+短期保有有価証券-有利子負債)と保有不動産の含み益を推計し、現在の時価総額と比較した「実質的なPBR」を算出せよ。最も割安度が高いと判断される企業とその根拠を簡潔に述べよ。
③ 致命的なミスを防ぎ、戦略を練る「思考モード」
自身の投資判断が、感情や一時的なトレンド(モメンタム)に流されていないか。思考モードは、あなた専属の「冷徹なリスクマネージャー」として機能する。1銘柄に多額の資金を投じる前、特にレバレッジをかける前の最終確認に必須だ。
- 活用シーン: 見つけた割安株が「本当に割安なのか」、それとも将来性がない「万年割安株(バリュートラップ)」なのかを批判的に検証させる。
- 実戦プロンプト例:Markdown
私は現在、A社(※具体的な銘柄名と状況)への集中投資を検討している。現在の株価は割安だと判断しているが、私の見立てが間違っている可能性を検証したい。 思考モードを用いて、A社が直面しうるワーストケースのリスクシナリオ(業績の大幅悪化、減配、不祥事など)を3つ具体的に提示し、私の強気な投資判断に対する反論を構築せよ。
④ 新たな投資テーマの徹底発掘「ディープリサーチ」
政策の変更や、新しいテクノロジートレンド(例:次世代半導体、防衛産業のシフトなど)が市場に与える影響を調べる際、手動での検索は非効率極まりない。ディープリサーチに「優秀な調査員」として業務委託する感覚だ。
- 活用シーン: 週末に特定のセクターやニッチなテーマを指定し、関連銘柄を網羅的にリストアップさせる。
- 実戦プロンプト例:Markdown
日本政府の最新の「〇〇政策(※例:防衛費増額、少子化対策など)」に関する動向と、それが国内の関連産業のサプライチェーンに与える具体的な影響をWeb全体から網羅的に調査せよ。 その上で、現時点でPBR1倍以下で放置されており、かつ今後この政策の恩恵を受ける可能性が高いBtoB企業を5社リストアップし、それぞれの選定理由をまとめたレポートを作成せよ。
3. まとめ:AIを「脳の拡張機能」として使い倒せ
AIのモードごとの特性を理解したなら、次は行動だ。
- ルーティンの見直し: 手動でやっている情報収集を「高速モード」や「Proモード」に置き換えられないか検討しろ。空いた時間で思考しろ。
- 感情の排除: ポジションを持つ前に、必ず「思考モード」に自身の前提を批判させろ。追証リスクに怯える夜を過ごしたくなければ、AIによる冷徹なリスク計算を経てからエントリーしろ。
AIはあなたの話し相手でも、慰め役でもない。市場から利益をもぎ取るための、冷徹な計算機として使い倒すのだ。それができる投資家だけが、次のステージ(資産1000万、そしてFIRE)へと進むことができる。









