はじめに
在留外国人の増加や企業のグローバル化、越境EC市場の拡大を背景に、「海外送金」のニーズが急速に高まっています。かつては銀行窓口での手続きが主流でしたが、現在ではフィンテック(FinTech)企業が提供する「安く、速く、簡単」なサービスが市場を席巻しつつあります。年間送金額が1兆円規模に達する在留外国人の仕送り需要などを背景に、この市場は今後も着実な成長が見込まれます。本記事では、大きな変革期にある海外送金市場のトレンドを分析し、関連する注目銘柄を幅広く詳しく解説します。
市場トレンドの分析
国際送金市場は、テクノロジーの力で大きく変化しています。これまでの銀行送金は、複数の銀行を経由するため手数料が高く、着金までに数日を要することが一般的でした。しかし、2010年の資金決済法施行により、銀行以外でも「資金移動業者」として送金サービスへの参入が可能になり、競争が活発化しました。特に、スマートフォンアプリで手続きが完結するモバイル送金が普及し、利便性が飛躍的に向上しています。さらに、近年ではブロックチェーン(分散台帳技術)を活用し、ほぼリアルタイムかつ低コストでの送金を実現しようとする動きも出てきており、今後の市場のゲームチェンジャーとなる可能性を秘めています。
需給要素
海外送金市場の需要と供給は、以下の要因によって成り立っています。
- 需要の側面(送金ニーズの源泉):
- 個人の送金(CtoC): 在留外国人労働者による母国への仕送りが最大の需要源です。その他、海外留学中の家族への生活費送金、海外在住者への贈与などが含まれます。
- 法人の送金(BtoB, BtoC): 越境ECサイトの売上金回収、海外企業への仕入代金支払い、海外拠点の従業員への給与支払いなど、ビジネスのグローバル化に伴い需要が拡大しています。
- 供給の側面(サービス提供者の動向):
- 競争環境の激化: 伝統的な銀行と、SBIレミットのような資金移動業者が手数料、為替レート、送金スピード、対応通貨の多さなどで激しい競争を繰り広げています。
- 利便性の追求: スマホアプリの使いやすさや、セブン銀行のように全国のATMから手軽に送金できるチャネルの確保が、顧客獲得の鍵となっています。
- コンプライアンス体制: マネーロンダリング及びテロ資金供与対策(AML/CFT)が国際的に強化されており、高度な不正検知システムや本人確認(KYC)体制の構築が不可欠です。
関連銘柄リスト
東証プライム市場
業種 | 企業名・証券コード | テーマとの関連性 | 詳細 |
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🏦 証券、商品先物 | SBIホールディングス (8473) | 子会社のSBIレミットが資金移動業のリーディングカンパニー。ブロックチェーン技術の活用にも積極的で、テーマの中核を担う存在。 | 株探で見る |
🏦 銀行業 | セブン銀行 (8410) | 全国2万7000台以上のATMネットワークを活かした海外送金サービスが強み。在留外国人にとって利便性が高く、着実に利用者を増やしている。 | 株探で見る |
🈂️ サービス業 | GMOペイメントゲートウェイ (3769) | 法人向けの決済代行サービス大手。越境EC事業者向けに海外決済・送金ソリューションを提供しており、BtoB分野での成長が期待される。 | 株探で見る |
🏦 銀行業 | 三菱UFJフィナンシャル・グループ (8306) | メガバンクの筆頭。法人向け国際送金や外為取引で圧倒的なシェアを誇る。 | 株探で見る |
東証スタンダード・グロース市場
業種 | 企業名・証券コード | テーマとの関連性 | 詳細 |
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🏦 証券、商品先物 | GMOフィナンシャルホールディングス (7177) | FX取引でグローバルな資金決済網を持つ。海外送金サービスとのシナジーが期待される。 | 株探で見る |
🈂️ 情報・通信業 | PKSHA Technology (3993) | 金融機関向けにAIソリューションを提供。不正送金のリアルタイム検知など、縁の下の力持ちとして需要増が期待される。 | 株探で見る |
投資へのアドバイス
本記事は、海外送金に関連する銘柄の情報提供を目的としており、特定の銘柄への投資を推奨するものではありません。フィンテック関連分野は技術革新のスピードが速く、国内外の法規制の変更が事業環境に大きな影響を与える可能性があります。投資に関する最終的な判断は、ご自身の責任と判断において行っていただきますようお願い申し上げます。
まとめ
経済のグローバル化と人々の国際的な移動が活発になる中で、海外送金市場は構造的な成長ポテンシャルを秘めた魅力的な分野です。特に、テクノロジーを駆使して利便性と低コストを追求するフィンテック企業が、伝統的な金融機関からシェアを奪い、市場の主役となりつつあります。今後も、新たな技術の登場や企業のサービス競争に注目していくことが重要です。
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