
【超入門】半導体ってなに?関連企業をわかりやすく解説【初心者向け】

株式投資の世界では「半導体関連株」が常に注目されます。しかし、半導体産業は非常に複雑で、多くの専門企業が関わりながら成り立っています。この複雑なエコシステムを理解することが、適切な投資判断を行うための第一歩です。
本記事では、半導体チップが完成するまでのプロセスを追いながら、各工程で活躍する主要企業とその役割を詳しく解説します。

半導体の全体像:主要なビジネスモデル
まず、半導体企業は大きく3つのビジネスモデルに分類できます。
- ファブレス企業(設計専門):製造工場を持たず、半導体の設計と開発に特化しています。NVIDIAやQualcomm、Appleなどがこれにあたります。彼らは高度な設計力とブランド力で競争し、自社で製造設備を持つ必要がないため、機動的な経営が可能です。
- ファウンドリ企業(製造専門):ファブレス企業から依頼を受けて、半導体を製造する専門企業です。製造には莫大な設備投資と最先端の技術が求められます。世界最大のファウンドリであるTSMCが代表格です。
- IDM(垂直統合型):設計から製造、販売までを一貫して自社で行います。かつて半導体業界の主流でしたが、現在はこのモデルを続ける企業は限られています。IntelやSamsung ElectronicsがIDMの代表例です。
製造プロセスの詳細:装置と素材の重要性
半導体製造は、クリーンルームと呼ばれる特殊な環境で行われます。ここでは、髪の毛の1万分の1以下の微細な回路を、薄いシリコンの板(ウエハ)に形成していきます。
1. 前工程(回路形成)
半導体の心臓部となるトランジスタや配線をウエハ上に作り込む工程です。
- ウエハ: 半導体の土台となるシリコンの円盤です。非常に高い純度が求められ、信越化学工業やSUMCOが世界トップクラスのシェアを誇ります。
- 製造装置: この微細な回路を形成するための装置群です。東京エレクトロン(成膜・エッチング)、SCREENホールディングス(洗浄)、そして露光装置の世界的な巨人であるオランダのASMLなどがこの分野をリードしています。
2. 後工程(組み立て・検査)
前工程で完成したウエハを個別のチップに切り分け、パッケージングする工程です。この分野では、日本のアドバンテストが世界トップシェアを誇る検査装置メーカーとして知られています。
投資家が注目すべき「縁の下の力持ち」
半導体製造には、目に見える装置や素材だけでなく、高度な「水」や「ガス」の技術も不可欠です。これらの分野で活躍する企業は、半導体市場の成長を確実に享受できる、安定した投資対象となりえます。
- 超純水(Ultra Pure Water):半導体製造では、洗浄工程で超高純度の水が使われます。水道水に含まれるわずかな不純物も許容されないため、専用のシステムで水から不純物を徹底的に取り除きます。この超純水装置や水処理システムを供給する主要企業は、栗田工業、オルガノ、野村マイクロ・サイエンスです。彼らは、装置の販売だけでなく、超純水の安定供給をサービスとして提供するビジネスモデルで、半導体メーカーの生産を支えています。
- 特殊ガス:半導体製造の過程では、膜を形成したり、不要な部分を削ったりするために様々な種類の特殊ガスが使われます。これらのガスは、非常に高い純度が求められ、取り扱いにも高度なノウハウが必要です。ここで登場するのが、エア・ウォーターです。同社は、半導体工場向けの特殊ガス供給装置や、クリーンルーム関連のサービスを提供しており、半導体製造に欠かせないインフラを担っています。
投資のヒント
半導体関連銘柄に投資する際、単に「半導体メーカー」という大きな括りで見るのではなく、**「どの工程に関わっているのか」**を理解することが重要です。
- 製造装置や素材、特殊ガス、超純水を扱う企業は、半導体市場全体の成長を安定して享受できる可能性があります。
- 特に、信越化学工業やSUMCOのように、ウエハで高いシェアを持つ企業は、半導体製造のボトルネック(供給制約)となることが多いため、市場の需要が拡大すれば大きな恩恵を受ける傾向があります。
- 一方、ファブレス企業は景気や技術トレンドの変化に影響を受けやすく、その動向を注視する必要があります。
この完全版ガイドが、あなたの投資活動の一助となれば幸いです。
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